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■甘え
彼とのことをずっと考えていた。
早く気持ちの整理をつけなきゃいけないのだろう。でもまだ整理したくない。
彼以外の人のことも見る努力をしなきゃいけないのだろう。でもまだ割り切れない。
彼のことを好きな気持ちは今でもある。それは彼も同じだと思う。
好きなのに別れなきゃいけないのはなぜ?
あたしは自分のことばっかり考えてた。
あたしが苦しい。あたしが寂しい。あたしが別れたくない。あたしが・・・
彼の気持ちは後回し。自分のことばっかり。
でも、それじゃいけないと思った。結局彼に甘えているだけだ。
本当だったら、あたしが言わなきゃいけない台詞だったのかもしれない。
「これ以上遠距離恋愛続けられない。別れよう。」って。
彼はあたしたちのために言ってくれた。
お互いに気持ちがある限り、少なくともどちらか一方が強い意志を持っていなければ
せっかくの決意も脆く壊れてしまうことになる。
自分の気持ちを言いたい放題言ってしまうのは簡単なこと。
だけど、言いたいのは彼も同じ。
彼がもっといい加減にあたしのことを考える人だったら、
「今がよければいいじゃん。」って軽い気持ちで、「1年待ってて」って言ったはず。
でもそうじゃなかった。彼はあたしに「待たなくていい」と言った。
言いたいけど言えない、そんな彼の気持ちを察することが
あたしのできる唯一の優しさじゃないのかなと思えるようになった。
どれだけ悲しくても寂しくても泣きたくても好きでも、甘えてちゃいけないと思った。
■あたしたちの道
あたしたちはこれからもたまーーに連絡を取り合うことにした。
と言っても、実際はどうなるかわからない。
どちらにせよ、彼とは今までとは違う形で付き合っていきたいとあたしは思っている。
なぜなら彼は、あたしが24年生きてきた中で
あたしのことをいちばん理解し、信頼し、好きになってくれた人で、
本当にいろんなことを教えてくれた人だから。
恋人としても好きだったけど、人としても好き。尊敬できる人だ。
ここぞという場面で、彼はいつもあたしよりも冷静だった。
18歳だけど、あたしよりずっと大人だった。大好きだった。
別れることになって更に彼のことを好きになった。
彼のことを好きになってよかった、とも思った。
いつになるかわからないけど、彼に会いたい。
そのとき2人に恋人がいるかもしれないし、いないかもしれない。
結婚しているかもしれないし、していないかもしれない。
でも、また会いたい。
それまではお互いにがんばろう。
指輪も携帯に貼ったプリクラもまだ外せずにいるけれど。